こんにちは。mina familyの本田です。
以前から気になっていた、「全国に子ども車いす(福祉バギー)を使ってる方は何人くらいいるのだろうか」という疑問について、少し調査をしてみましたのでご報告します。
子ども車いすの啓発をしていると、よく言われるのが「そんなもの見たことない」というご意見です。
「見たことないのではなく、見ても気付いていないかもしれません」と応えています。
実際、私は街を歩いていてよく子ども車いすを見かけます。
それでも、同じ街にお住まいの方にも言われます。「見たことない」と。
ということで、今回は大阪市の担当者の方にご協力いただき、実数を推計してみました。
大阪市の身体障害者(18歳未満)の数 1,854人(大阪市HPより:平成28年3月31日時点)
手押し車いす・介助型B(福祉バギー) 新規作成 70件(18歳未満・平成27年実績数/障害者手帳所持者全体の3.7%)
全国の障害者の数(18歳未満) 78,000人(厚生労働省HPより)
推計で、年間約2,900件の新規作成(手押し車いす・介助型B(福祉バギー)のみ)がされていることになります。
手押し車いす・介助型B(福祉バギー)の製造が始まって約15年として、2,900件×15年で43,500件。
…と、推計と呼ぶにはかなり基礎データに乏しいものですが、少なくとも何万台という台数が世に出ているであろうことは間違いないかと思います。
またこれは公費補助を受けて購入されている数ですので、自費購入した方、お友達のお下がりを使っている方(←よくあります)などの数は加算されていないこと、そして手押し車いす・介助型Aと呼ばれる手押し型車いす(申請台数は福祉バギーよりやや少ない程度でした)にも福祉バギーのような外見のものがあることから、それらを加味すると…。
成人してベビーカーには間違われなくなった方の数を考慮しても、8~10万台近くが全国の街を走っている…かも!!!
10万台というと、プリウスが販売開始から5年間かけて全世界で売り上げた販売台数くらいですよ。(トヨタHPより)
10万人というと、大阪府池田市の全人口くらいですよ。(池田市HPより)
予想していたより多いな、と思いました。
ということで、あなたが今日街で見かけたベビーカーも、もしかしたら子ども用車いすかもしれません。
当団体が取り組んでいる子ども用車いす啓発活動は、モラルの問題として語られることが多いのですが、私個人としてはモラル以前の問題だと思っています。
「例えベビーカーでも、畳めとか言うのはおかしい」
「そもそもベビーカーで入れないなんて、バリアフリーじゃない」
…それらのご意見も分かりますが、まずは“子ども車いす(介助型車いす)”も普通の車いす(自走式車いす)と同じように扱って欲しい、というのが啓発の主旨です。
車いすで入れる場所なら、子ども車いすでも入りたい。
ベビーカーはダメ、に子ども車いすを含まないでほしい。
車いすに乗っている人には言わないようなこと(歩かせなさい、など)は、子ども車いすに乗っている子どもにも言わないでほしい。
一時は定型発達の子どもを育てていた時期もある母として、ベビーカーなら畳むべき場面もあると思っています。そして、車いすでも入れない場所はあって当然だし、世の中全てをバリアフリーにするべきだとも思いません。
ただ、子ども車いすも車いすの一つであると、ベビーカーみたいな乗り物でも身体に障害などがあって乗っている場合があると、知ってほしいのです。
「ベビーカーでしょ」「違います」の押し問答を日常的にするのは、意外とストレスになります。公共交通機関で、公共施設で、病院で、街中で、数えきれないくらい説明してきました。
モラルのない親と非難され、意味の分からないことを言う人だと呆れられ、面倒だから応じておくかとため息交じりに対応され、時には虐待しているとまで言われてきました。
それでも、娘の通院やリハビリに、生活のために、外に出ないわけにはいきません。
知ってください。子ども用車いす(介助型車いすB、福祉バギー※)のこと。
※「バギー」とは、ベビーカーの別称です。「福祉バギー」とはつまり「福祉用ベビーカー」のようなニュアンスで、その名の通りベビーカーのような外観です。
ベビーカー(左)と子ども用車いす(福祉バギー)(右)
啓発には時間が掛かります。これからも、地道に誠実に啓発を続けていきたいと思います。
こんな地味で時間のかかる活動にいつもお力を貸してくださるみなさま、本当にありがとうございます。心から感謝しています。
いつか「あ、それ車いす?」なんて気軽に訊ねてもらえる日が来ますように。